ストレスチェックについてのQ&Aが更新され厚労省のHPに公開されました。(平成27年9月30日)更新された内容の要旨は以下のとおりです。
Q0-13 ストレスチェックの実施義務の対象「常時50 人以上の労働者」カウントについて
A 「常時使用している労働者が50 人以上いるかどうか」の判断は、ストレスチェックの対象者のように、契約期間(1年以上)や週の労働 時間(通常の労働者の4分の3以上)をもとに判断するのではなく、常態として使用しているかどうかで判断する。したがって、例えば週1回しか出勤しないようなアルバイトやパート労働者であっても、継続して雇用し、常態として使用している状態であれば、常時使用している労働者として50 人のカウントに含める必要がある。
Q1-1 産業医の職務に「心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに同条第三項に規定する面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること」が追加されたが、産業医はストレスチェック制度にどこまで関与すれば、職務を果たしたことになるのか。
A 労働安全衛生規則第14 条の規程は、産業医がストレスチェックや面接指導等の実施に直接従事することまでを求めているものではない。衛生委員会に出席して意見を述べる、ストレスチェック制度の実施状況を確認するなど、何らかの形でストレスチェックや面接指導の実施に関与すべきことを定めたものである。ただし、事業場の状況を日頃から把握している産業医が、ストレスチェックや面接指導等の実施に直接従事することが望ましいと考えている。
Q2-2 ストレスチェック制度に関する社内規程は、どのような形式で定めればよいか。、就業規則に該当するのか。
A ストレスチェック制度に関する内部規程については、特に形式を問わない。何らかの形で、文書化すれば問題ない。また、就業規則に該当するものでもないため労働基準監督署への届出も必要ない。なお、厚生労働省のホームページに、モデル規程の例を掲載しているので、規程を定める際には、参考にしてほしい。
Q3-8 労働安全衛生法に基づくストレスチェックは年1回実施しており、それとは別に会社独自にストレスチェックを定期的に実施しているが、この会社独自の取組についても法令の規定に基づいて行わなければならないのか。また、監督署への報告は必要か。
A 会社独自に実施するストレスチェックについても、それが労働安全衛生法のストレスチェックの定義に該当する検査を実施する場合は、個人情報の取扱い、実施者の範囲等を含め、法令に即して対応する必要があり、不備があった場合は、法違反という扱いになる。 一方、労働基準監督署長への報告については、年に1度報告すれば足りるので、2回実施している場合にも、1回分のみ報告をすれば問題ない。
Q3-9 労働安全衛生法に基づくストレスチェックは年1回実施しており、それとは別に安衛法に基づく健康診断の問診としてCES-Dを実施し、その結果は本人の同意を取らずに企業が把握しているが、法的に問題あるか。
A CES-D は、今回のストレスチェック定義に基づけば、ストレスの要因や周囲のサポートに関する質問項目を含むものではないので、企業で実施することに法的な制約はかからないが、ストレスチェック制度では、個人のストレスの状況を本人の同意なく企業側に知られないようにするための制限を設けていることを踏まえれば、健康診断の中でCES-D を実施し、本人の同意を取らずにその結果を企業が把握することは望ましくない。実施する場合は、今回のストレスチェック制度に準じて、結果を企業側に提供する場合は本人の同意を取る等の対応が望ましい。
Q5-3 個々の労働者のストレスチェックの受検の有無の情報について、受検勧奨に使用する途中段階のものではなく、最終的な情報(誰が最終的に受けなかったのかという情報)を事業者に提供して良いか。
A ストレスチェックの受検の有無の情報については、個人情報という取扱いにはならないので、事業者に提供することは可能。ただし、どのような目的で最終的な受検の有無の状況を事業者に提供するのか、不利益な取扱いにつながらないようにすることなどについては、衛生委員会等で調査審議を行い、社内のルールとして決めておくことが望ましい。
Q6-6 看護師や精神保健福祉士が、研修を受けなくてもストレスチェックの実施者となれる健康管理等の業務の経験年数三年について、例えば健診機関や病院で企業健診に関わっているような場合や、特定保健指導のみに従事しているような場合も経験年数に含まれるのか。
A 三年以上企業健診に従事した者であれば、原則として労働者の健康管理等の業務に従事したと見なせるので、研修を受けなくてもストレスチェックの実施者となることは可能。ただし、企業検診に従事したといっても、例えば問診票の点検や採血業務だけ担当していたなど、従事した業務が一般的な健康管理と違いのない業務に限定され、労働者の健康管理についての知識を得る機会がないとみなされる場合は、労働者の健康管理等の業務に従事したとはいえないため、業務内容によっては該当しない場合もあるので留意が必要。
判断に迷う場合は、最寄りの労働基準監督署に相談してほしい。 なお、住民検診に関する業務は労働者の健康管理等には該当しない。
また、労働者の健康管理等の業務には、労働者に対する保健指導も含まれるので三年以上労働者に対する特定保健指導に従事した看護師であれば、原則として労働者の健康管理等の業務に従事したと見なせるため、研修を受けなくてもストレスチェックの実施者となることは可能。
Q10-2 ストレスチェック結果の保存を担当する者が交代する場合、過去のストレスチェック結果を引き継ぐことはできるのか。
A ストレスチェック結果の保存を担当する者が変更になる場合、過去のストレスチェック結果を引き継ぐことは可能。
事業者には、ストレスチェックの結果の記録の保存が適切に行われるよう、必要な措置を講じる義務がある。したがって、保存を担当する者が変更された場合も、保存が適切に継続されるような対応が法令上求められている。
その中には、保存を担当する者の指名や、保存を担当する者を変更した場合の結果の引き継ぎも含まれるため、保存を担当する者の変更に伴い、事業者の指示に基づき、これまでの保存担当者が、新たに指名された保存担当者に過去のストレスチェック結果を提供する行為は、労働安全衛生規則第52条の11で義務付けられている行為を遂行するために必要な行為である。そのため、個人情報保護法第23条の適用は受けず、安衛法第104条に抵触もせず、本人同意を取得する必要はない。
Q11-3 事業場の規程として、数値基準により高ストレスと判定された者については、全員面接指導の対象者とすると決めていたとすれば、システムでストレスチェックを実施し、その結果が高ストレス者に該当するかどうか、面接指導の対象者かどうかを瞬時に出力し、それをもって結果の通知まで終了したとすることは可能か。
A 高ストレス者の判定は自動的に行ってもよいが、面接指導が必要かどうかは、実施者が確認・判断しない限り、ストレスチェックを実施したことにはならない。
したがって、例えば、高ストレス者と判定された者を、実施者の確認・判断を経ることなく、面接指導の対象者として決定し、本人に通知するといったルールを定めたり、そうした処理を自動的に行うプログラムを用いてストレスチェックを実施することは不適当。
Q12-5 事業者が面接指導の実施を外部の医療機関の医師に依頼した場合、医師は保険診療扱いとしてよいか。
A 保険診療扱いはできない。労働安全衛生法に基づくストレスチェック後の面接指導は、事業者に実施義務を課しているので、その費用は当然に全額事業者が負担すべきものでとなる。
厚労省HP「職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策・心身両面にわたる健康づくり(THP) ストレチェック制度 Q&A」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-2.pdf
厚生労働省HP「職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策・心身両面にわたる健康づくり(THP)ストレスチェック制度実施規程例」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150930-1.pdf